マラパスクア島でニタリザメダイビングとは
ダイバーの憧れ、幻のサメ「ニタリザメ」と出会えることで知られるフィリピン・マラパスクア島。その名を世界に知らしめたのが、早朝のダイビングで高確率に遭遇できるニタリザメの観察体験です。私自身もサメ好きとして、ついに夢のマラパスクアでダイブを果たしました。
マラパスクア島へのアクセスは少し手間ですが、その分ワイルドな大自然が広がり、海の透明度や生物相の豊かさは格別です。多くのダイバーがこの島に惹かれる理由は、なんといっても現地のクリーニングステーションに現れるニタリザメの迫力と美しさ。島は国際的にも有名な観察地で、毎年世界中からサメ好き・アドベンチャー派のダイバーが集まります。
私が参加したダイビングツアーでも、メインイベントはもちろんニタリザメでした。現地のプロガイドによるブリーフィングや、サメの行動・観察のコツの解説が丁寧で、初心者からベテランまで印象に残る体験ができると感じました。マラパスクアといえばダイビングの聖地。その理由は体験すれば納得です。

ニタリザメとオナガザメ科の特徴
サメと聞くと怖いイメージを抱く人も多いですが、ニタリザメ(学名: Alopias pelagicus)は神秘的な外観と独特の行動が注目されています。和名で「似魚鮫」とも書かれ、オナガザメ科に属し、名前の通り尾鰭が体長の半分以上もある長さなのが特徴です。実際に観察してみると、そのふわりと舞うような泳ぎと、体から大きく伸びる尾鰭はまさに芸術品のようでした。
オナガザメ科にはニタリの他に「マオナガ」「ハチワレ」の3種が存在しますが、ニタリザメはその中でも最小型で、最大4.3mにもなります。特徴的なのは、背側が青や灰色、腹側は銀色ががった白色で、胸鰭が大きく各ヒレ先が丸いこと。また、マオナガと異なり、胸鰭の基部の上まで白帯が伸びません。ニタリザメの目は黒く大きく愛らしさすら感じますが、サメらしい凛々しさも併せ持っています。
マラパスクア島で出会ったガイドも、ニタリザメと他種の違いを現地ビジュアルで丁寧に教えてくれました。尾鰭の使い方や体つきの違いを知ると「オナガザメ科」の奥深さにどんどんハマっていきます。“似たり”が語源のマニアックな日本の名称も面白いエピソードです。
クリーニングステーションの魅力を解説
クリーニングステーションとは、魚やサメたちが寄生虫を食べてもらうために集まる特殊な場所です。マラパスクア島はこのクリーニングステーションが世界的に有名で、ここにニタリザメが連日訪れるため、観察の成功率が高いことで知られています。私も実際、クリーニングステーションで息を潜めて水中に身をひそめていると、尾鰭をなびかせたニタリザメが悠然と現れる瞬間に立ち会えました。
この場所の水深は22~25m程度で、朝早くがベストタイム。多いときは数匹のニタリザメがステーションに滞在する日もあるそうで、1ダイブで4匹以上見られるラッキーな瞬間もあります。ステーション周辺では小さなクリーナーフィッシュが忙しそうにサメの体を掃除しており、その光景もまたダイバーにとって魅力となっています。
クリーニングステーションはマラパスクアだけでなく、フィリピン国内の他の島でも見られます。ですが、安定してニタリザメダイビングを楽しめるのはここだけといっても過言ではありません。世界のサメ好きが熱望する理由が、実感できる体験です。

実際に潜って感じた尾鰭の迫力と美しさ
多くのダイバーが抱く「サメ=危険」というイメージを覆すのが、ニタリザメとの出会いです。私は念願の早朝ダイブで、静寂な海底に優雅に近づくニタリのシルエットを見た瞬間、圧倒的な存在感と神話的な美しさに息を飲みました。
尾鰭は本当に体の半分以上もあり、ヒラヒラと空を舞うリボンのよう。太陽の光が差し込むたび、尾鰭がキラキラと神秘的に輝き、魚群をなぎ払うように泳ぐさまは思わず見とれてしまいます。4m級の個体が目の前を通過する体験は、今でも鮮明に記憶に残っています。
この尾鰭は、単なる装飾ではなく、獲物を叩いて一瞬で気絶させる捕食にも使われます。水中で力強く尾を打つ一瞬のスピード感や、迫力ある音、舞い上がる泡も印象的でした。これこそがニタリザメダイビング最大の魅力であり、現地でしか味わえない特別な感動です。
捕食行動や観察時のルール体験談
ニタリザメの捕食行動は、長い尾鰭を巧みに使いイワシや小魚の群れを一撃で制圧する方法が特徴です。実際に観察ステーションで遭遇した際は、獲物に高速で近づき、急反転して尾鰭の先端で水面を叩く様子に圧倒されました。水中に響くその一撃は、本当に神業のようなスピードとコントロール。実際、1度の攻撃で複数の魚を同時に失神させることもあり、自然界のバランスを感じさせてくれます。
モナドショールなど現地名所では、観察時に「観察ルール」がしっかり設けられています。
- 水中ライトやカメラのフラッシュは使用禁止
- ニタリザメに近づきすぎない
- サンゴや他の生物を傷つけない
これらのルールを守ることで、サメにストレスを与えず観察を続けることができる環境が維持されています。私も最初は興奮してしまいましたが、現地スタッフや他のダイバーの冷静な対応に、マナーの重要性を改めて実感しました。体験する側も責任感を持って参加することが、今後の持続可能なダイビングにつながります。
ニタリザメはなぜ絶滅危惧種なのか
いま、ニタリザメはIUCNレッドリストで絶滅危惧種に指定されており、その数は年々減少しています。外洋性のサメという生態もあり、個体数の推定は難しいですが、その美しい姿が見られるのは今や奇跡的とも言えるのです。
主な脅威は、マグロやカジキの延縄漁による混獲や、ヒレ・肉の利用を目的とした商業漁業、スポーツフィッシングなどの人為的要因です。2017年にはワシントン条約にAlopias属が掲載され、国際的な取引規制も導入されました。しかしそれでも、リリース後に死亡する個体も多く、回復の兆しはまだ見えていません。
現地で出会ったダイビングガイドも「いつか幻の存在になってしまうかもしれない」と、人為圧の深刻さを訴えていました。保全の意義を実感できる瞬間でした。

漁業混獲の実態とフィリピン保護活動
フィリピン近海を含む幅広い分布海域で、ニタリザメはマグロ延縄や刺し網にしばしば混獲されています。現地ではサメ肉やヒレ、肝油、皮などがさまざまな用途に利用されてきました。特にマラパスクア島周辺では、観光資源としての価値が高まるにつれ、地域全体がサメの保護活動に熱心に取り組むようになっています。
保護活動の一例として、現地ガイドやダイビングショップが漁民と協力して、漁業圧の低減や持続的な観光活用の推進に取り組んでいます。私もツアー参加時に、サメに優しい観察ルールの重要性や生態系保全の現状について、現地スタッフから詳しく説明を受けました。この地域の「幻のサメ」を守るための努力を、肌で感じることができました。
- 観光収入の一部を保護基金に循環
- 漁民向けの環境教育セミナーが継続開催
- サメ混獲防止の新漁法導入実験を現地主導で実施
これからもサメと人の共生が進むことを願っています。
水族館飼育と自然観察の違い
ニタリザメは世界的にも水族館での飼育例が極めて少なく、長期飼育に成功した記録もほとんどありません。それだけ自然下での生態が特別で、海洋の広大さや繊細な生態リズムが必要なのだと感じます。私もニタリザメに出会うまでは、いつか水槽でじっくり観察してみたいと思っていましたが、現地ダイビングでその印象は一変しました。
海の中でのニタリザメは、呼吸や泳ぎ、餌取りの全ての瞬間に命のエネルギーを感じさせます。生き生きとした尾鰭の動き、光を浴びた体表のきらめきは、人工環境では到底再現できません。日本でも過去に沖縄や大阪などで短期間の展示があったものの、すぐに衰弱してしまう例がほとんどです。
サメ好きとしては、水族館に展示されるありがたさも理解しつつ、やはり本来の生息環境で観察できることこそが最大の価値だと思います。今後は水族館展示と野外保全の両立についても考えていく必要がありそうです。
ニタリザメとマラパスクア島で得た感動と学び
実際に現地でニタリザメダイビングを体験することで、未知の世界へ一歩踏み出せたような高揚感がありました。迫力ある外見や、思いのほかおとなしい動き。人とサメが適切な距離をとることで、両者にとって安心・安全な体験ができることを自分の体験で知ることができました。
また、希少な生き物を持続可能な形で守るには、現地の人々やダイバーだけでなく、私たち旅行者一人ひとりのマインドセットも重要だと感じました。絶滅危惧種に分類された背景や、保護活動のリアルな情報に直接触れられたことは、大きな学びとなりました。
この旅で得た知識や気持ちは、これからも大切にしたいですし、誰かに伝えていきたいと思います。広い海に生きるニタリザメを、これからも皆で守っていきたいと強く感じています。

ダイビング前後にできることと注意点
実際にマラパスクアのニタリザメダイビングに参加する際には、いくつか大事なポイントがあります。ダイビング前は必ず現地スタッフから細かい観察ルールや注意事項を聞いておきましょう。水中で不用意にサメに近づかない、サンゴを傷つけないといったルールは、サメや他の生き物の安全につながります。
また、十分な減圧の知識や、水深が深くなる分浮力コントロールを丁寧に行うことも必須です。体験後は、地元の自然環境や生態系保護について積極的に学ぶことで、自分自身もニタリザメ保全の一員であることを実感できるでしょう。
- 早朝ダイブに備えて体調管理を徹底
- 水中ではバディやグループの安全確認を忘れずに
- ダイビング後は余韻に浸りつつ、観察ルールや生態について復習
これを機に、自分が地球の海を守る一員である意識が芽生えます。
まとめ
ニタリザメダイビングで体験した、幻想的なサメとの遭遇や現地ガイドから学んだ数々の知見は、人生でも一生の思い出となりました。その美しさ・生態・危機的状況は、多くの人に知ってほしいと心から思います。ぜひあなたも海の広さと命の重さを感じにマラパスクアへ足を運んでみてください。
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